千姫のひとりごと

千姫の日々の気づきや想いを「ひとりごと」として綴っています。目に留めて頂ければ、これも何かのご縁・・・

S先生の想い出

春の展覧会が終了した

今回の展覧会でも
支部公募の展覧会でも
喜んだ人悲しんだ人それぞれの物語を見ました

私が思い出すのは初代支部長のS先生のこと

 

出来の悪い私は落選を何度も経験しています

 

でもそんなに悲しまなくて済んだのは
S先生が身近に寄り添い励まして下さっていたから

 

美校に行きたかったけど家の事情で行けなかったので
技術を持たずただ憧れだけで絵画を始めた私に
絵の解釈を一から教えてくださいました

『上手な絵を描こうと思たらあかん
上手な人はなんぼでもおりますやろ
あんたはあんたの絵を描きなさい』と
自由に描くことを教えてくださった

 

そうして研究会に持って行った私の絵をじっと見て

『ここをこうしてこうしたら作品になる・・・』と
作品へと進めていく方法も教えてくださった

支部の先輩先生方にも
『ほれ見てみ この子の絵の重心は高いところにあるやろ
 こんな子でもわかっとるのになんで君らはわからんのや?』

当時の肩パットの入った洋服に例え
斬新な構図づくりなどの展覧会での戦い方なども教えてくださった

 

私は何のことかも理解はできなかったけど
S先生に褒められたような気持になり絵画制作を楽しむことができました

 

その作品を持ち込んでの春の展覧会でも私は落選

 

 ちなみにT先生が描いた絵をS先生が見られ『逆さで』と言われ
そのまま逆さにして進め仕上げた作品が展覧会で受賞されたこともありました

 

 

ある研究会の日
S先生と事務局のT先生がお話しされていたのは
その展覧会の審査の内容でした

 

『あんな、、、絵が出てきて
 思いっきり手を挙げたらな、、、
 左右見て後ろ振り返ったら
 私ひとりだけやったんや、、、』

 

周囲の先生方は笑っていました

 

端の方で聞いていた私は
その時の審査作品は私のだ!とすぐに気づきました

 

ガッカリしてる私に近寄って来られたS先生は

『あんたの絵は良かったで このままやりよ
 美校を出た人は学校で習ったことを壊すのに時間がかかるけど
 あんたはこのまま進むだけで良いんやから楽なんやで』

 

私はへえ~そんなもんなんか、、、と疑わず?納得(笑)

 

今から思えば出来の悪い私にも
たいへん寄り添って親身になってくださっていた優しさを
今も懐かしく思い出します

 

あの優しさが私の進むエネルギーになったようです

私は初代の教えを伝えたいと思います

このようなときS先生だったどうするでしょうか?

 

そのようなことを思いつつ
最近は絵を描いているような気がします