千姫のひとりごと

千姫の日々の気づきや想いを「ひとりごと」として綴っています。目に留めて頂ければ、これも何かのご縁・・・

教育の目的とするところ


状況を変えるということは
教育に関しては実に小さな要素でしかない


ある人間にとって

完全に勉強し易い状態を作る
などということはできないことだし

それはむしろ教育の目的とするところではない


教育はむしろ

どんなに勉強し難い状態でも
勉強できるような人間を作ることにある


「太郎物語」より



日本の戦後教育が果たさなかったものは
善か悪かではなく


多くの場合

善と悪がまじり合った不純な選択以外にあり得ない
という大人の判断を養うことであった


現世に悪の要素が無くなることはない

もちろん善の気配が消えることもない


しかし善だけだったり
悪だけだったりするものもない

要はどこで妥協するか ということなのだ


もちろんできるだけ

いい地点で折り合うことが望ましいのは言うまでもない


いい大人までが 理想論でものを言う

それをほんとうは幼稚というのである


私たちは理想を目指す

しかし現実は決して理想通りになり切れないことを知っている

そこから 

ためらいも 羞恥も 寛大も 屈折も 悲しみも 許しも知った

大人の感覚が生まれるのである


教師は立場上

こうした不純で 

これゆえにこそ
成熟したふくよかなものの見方を教えにくい


しかし父や母なら教えられる

こうした話は

家庭という誤解を恐れる必要のない
気楽な密室的な場で

食事の時や風呂の中で話すのに適した話題なのである

「ただ一人の個性を創るために」より